1: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:24:46.075 ID:MZ0220LCp
たかし「スペシウム光線をゴモラに撃ってねー」
ぼくくん「ゴモラじゃなくて、ご・く・うでしょ?」
たかし「…」
ぼくくん「どうしたの?」
────幼稚園のある一日だ。それから高校卒業に至るまで、僕はたかしくんに距離を置かれた。
ぼくくん「ゴモラじゃなくて、ご・く・うでしょ?」
たかし「…」
ぼくくん「どうしたの?」
────幼稚園のある一日だ。それから高校卒業に至るまで、僕はたかしくんに距離を置かれた。
2: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:25:37.192 ID:728vwTTba
あのときの…
ぼくくんか…!?
ぼくくんか…!?
3: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:26:11.884 ID:MZ0220LCp
───たかしくんには無視を決め込まれたり、時には殴られたりもした。教科書に落書きをされたことや、靴の中に牛乳を零されたりもした。彼はやんちゃだったのだ。
4: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:27:10.750 ID:ItrRGei/a
ぼくくん発達障害だったのか
5: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:28:27.390 ID:MZ0220LCp
───そして20年後、秋葉原フィギュアショップにて
ぼくくん(38)「これは…」
───ゴモラだった。彼は正しかったのだ。彼は間違いを正す僕に嫌気がさし、当たりが強くなったのだ。彼に謝らなければならない。スペシウム光線を撃たれたのは悟空ではなく、ゴモラだったのだ。
ぼくくん(38)「これは…」
───ゴモラだった。彼は正しかったのだ。彼は間違いを正す僕に嫌気がさし、当たりが強くなったのだ。彼に謝らなければならない。スペシウム光線を撃たれたのは悟空ではなく、ゴモラだったのだ。
6: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:31:39.190 ID:MZ0220LCp
───彼の所在を突き止めることにした。彼は僕に対して怒りの感情を持っていたが、同時に友達としても後ろめたさがあっただろう。だから偽名(高校のたかしくんの友達の名前)を使い、当時の住まいや近所から聞き込みをすることにした。
7: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:33:39.065 ID:MZ0220LCp
───彼の所在はすぐ分かった。偽名を出せばすぐにみんな教えてくれる。口が軽い軽い。とにかく、謝れば彼も許してくれるはずだ。彼も僕のことを悪いと思っていたはずだ。早く行かないと。僕の足はどんどん進む。
8: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:37:38.952 ID:MZ0220LCp
───そして、彼の家に着いた
ぼくくん「こんばんわ」
たかし「こんばんは、どなたでしょうか?」
ぼくくん「僕だよ。」
たかし「んん?」
───彼は気付かないふりをしている。
たかし「失礼ですが、どなたでしょうか?」
───下手な演技だ。いや、おそらく後ろめたさからの発言なのだ。僕がスペシウム光線のことを謝ればいいだけの事。万が一忘れていたとしてもきっとそれがきっかけですぐに思い出す。
ぼくくん「こんばんわ」
たかし「こんばんは、どなたでしょうか?」
ぼくくん「僕だよ。」
たかし「んん?」
───彼は気付かないふりをしている。
たかし「失礼ですが、どなたでしょうか?」
───下手な演技だ。いや、おそらく後ろめたさからの発言なのだ。僕がスペシウム光線のことを謝ればいいだけの事。万が一忘れていたとしてもきっとそれがきっかけですぐに思い出す。
9: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:40:46.713 ID:MZ0220LCp
ぼくくん「スペシウム光線で倒れたのは悟空じゃなかった。」
たかし「あの…」
───まだ思い出せない「フリ」をしている。大声でわからせてやるか。
ぼくくん「スペシウム光線で倒れたのはゴモラだったんだ!!!」
たかし「警察呼びますよ!!」
───ああ、そうか。彼はヒーローごっこがしたいのだ。
たかし「あの…」
───まだ思い出せない「フリ」をしている。大声でわからせてやるか。
ぼくくん「スペシウム光線で倒れたのはゴモラだったんだ!!!」
たかし「警察呼びますよ!!」
───ああ、そうか。彼はヒーローごっこがしたいのだ。
10: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:45:29.362 ID:MZ0220LCp
───おそらく彼の中では彼自身一般人役だ。という事は僕が彼を襲えば、彼はヒーロー役になって僕を倒すという事だ。仲直りがしたいんだろう。2人でヒーローごっこをがしたいのだ。
ぼくくん「それならそうと早く言ってくれればいいのに。」
たかし「えっ」
ぼくくん「演技が上手だね」
───僕は彼にヘッドロックをかけた。こういう遊びにはプロレス技が定番だ。
ぼくくん「それならそうと早く言ってくれればいいのに。」
たかし「えっ」
ぼくくん「演技が上手だね」
───僕は彼にヘッドロックをかけた。こういう遊びにはプロレス技が定番だ。
11: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:48:03.385 ID:MZ0220LCp
───僕はヒーローになりたかった。だからひたすら体を鍛えていたのだ。ベンチプレスなら150キロくらいを簡単にに上げられる程度には。体重は100キロを超え、肉体的には憧れの悟空に近くなってとても嬉しかった。
12: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:51:04.168 ID:MZ0220LCp
たかし「た、たすけて…」
ぼくくん「ほんと演技上達したよね!」
たかし「苦し…い」
ぼくくん「そろそろヒーロー出てきていいんだよ?」
たかし「…は?」
───ゴキン。という音を立てて彼は動かなくなった。どうやら寝てしまったらしい。結局僕は彼に謝ることが出来ず、もやもやした気持ちでいた。
ぼくくん「ほんと演技上達したよね!」
たかし「苦し…い」
ぼくくん「そろそろヒーロー出てきていいんだよ?」
たかし「…は?」
───ゴキン。という音を立てて彼は動かなくなった。どうやら寝てしまったらしい。結局僕は彼に謝ることが出来ず、もやもやした気持ちでいた。
14: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:52:40.110 ID:MZ0220LCp
───なにかおかしい。彼は本当に覚えていないようだった。そんな事はありえないはずだ。なぜならスペシウム光線のことは僕が覚えている。それなら彼も覚えているはずだ。いや、覚えていないとおかしい。つまり彼は記憶を誰かに操作されていることになる。
15: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:57:25.652 ID:MZ0220LCp
「あなたー?一体何してるの?」
───家の中から声が聞こえる。ああそうか。この声の主が彼から記憶を奪った怪人なのだ。それなら話が早い。怪人を倒せば彼の記憶は元通りになり、僕も彼と仲直りができるのだ。僕は血が滾るのを感じた。怪人を倒せば僕は夢のヒーローになることが出来るのだ。
「あなた?」
───怪人が来た。僕の夢はこれから叶う。たかしくん、ありがとう。
───家の中から声が聞こえる。ああそうか。この声の主が彼から記憶を奪った怪人なのだ。それなら話が早い。怪人を倒せば彼の記憶は元通りになり、僕も彼と仲直りができるのだ。僕は血が滾るのを感じた。怪人を倒せば僕は夢のヒーローになることが出来るのだ。
「あなた?」
───怪人が来た。僕の夢はこれから叶う。たかしくん、ありがとう。
16: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 21:59:04.635 ID:MZ0220LCp
おしまい
おつかれさまでした
転載していいです
おつかれさまでした
転載していいです
17: 風吹けば名無し 2020/04/05(日) 22:03:01.913 ID:709gzUmea
その様子を見ていた息子が恨みからダークヒーローに覚醒する展開ですね大好物です
引用元: https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1586089486/
sukenokiv
がしました